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医療コラム

脳疾患の治療について

脳ドックなどで、頸動脈エコーや脳MRI/MRAを定期的に行い、脳や首の動脈の動脈硬化やそれによる血管狭窄の有無をチェックし、必要に応じて血液をさらさらにする薬を内服して、血栓ができるのを予防することが重要です。狭窄の程度がひどい場合や、軽度脳梗塞や一過性の脳症状を呈する場合は、狭窄部にステントを置いたり、脳血流を増やす手術が必要になったりする場合もあります。

また、動脈硬化は、糖尿病、高血圧、高脂血症などがあると悪化する傾向があり、認知症の原因ともなるので、これらの生活習慣病の予防と治療も重要です。

図の説明:左:MRAで頚部の頸動脈の高度狭窄を発見された(矢印)。中:カテーテル血管撮影で狭窄が確認された(矢印)。無症状であったが、高度狭窄であったためステント治療を行った。左; ステント留置により狭窄部の拡張が得られた(矢印)。

脳出血は脳卒中の約4分の1に起こりますが、高血圧性脳出血が最も多く、脳出血の約80%を占めます。最近は高血圧の治療が進んだために減少傾向にあります。次に多いのはくも膜下出血で、脳出血の約20%を占めます。

くも膜下出血の原因としては、脳動脈瘤の破裂が最も多く、この場合は重症のくも膜下出血を起こして、死亡したり重篤な後遺症が残りがちです。脳動脈瘤によるくも膜下出血を予防するには、脳ドックなどで脳動脈瘤の有無をチェックして、脳動脈瘤が見つかったら破裂する前に治療することが重要です。動脈瘤の破裂危険因子としては、動脈瘤の家族歴、喫煙、高血圧が知られており、動脈瘤に加えてこれらの危険因子のある人は注意が必要です。

脳動脈瘤の治療は、以前は頭の骨を開けて顕微鏡手術により動脈瘤を閉塞する開頭クリッピング術が主流でしたが、近年では頭の骨を開けずにカテーテル治療で動脈瘤を閉塞できる症例が増えています。脳動脈瘤は、5mm未満の小型、5-10mmの中型、10mm以上の大型に分類され、大きな動脈瘤ほど破裂リスクが高い傾向があります。

また、動脈瘤の形や場所によっても出血リスクが異なることが報告されています。一般的に5mm以上の脳動脈瘤は出血予防のための治療が推奨されますが、5mm以下の動脈瘤は治療せずに経過観察をしたほうがよい場合もあります。したがって、未破裂の動脈瘤が見つかった場合には、専門家に治療方針を相談する必要があります。小さな動脈瘤でも経過観察中にサイズが増大したり、形が変わったりする不安定な動脈瘤は、出血リスクが高いので治療が必要となります。

図の説明:左:脳ドックで左内頚動脈にふたこぶの動脈瘤が発見された(矢印)。中:カテーテル血管撮影の3次元撮影でふたこぶの動脈瘤の詳細を検討し(矢印)、コイルによる血管内治療を行うことにした。右:コイルを充填された後のカテーテル血管撮影3次元画像。コイルは青色で示されている(矢印)。

このように、脳ドックを行うことにより、脳動脈瘤や無症候性の脳梗塞の有無、脳および頸部血管の動脈硬化性変化や狭窄の有無とその程度、脳の加齢性変化の程度と認知症リスクの評価が確認でき、これらの疾患の早期診断と予防や治療につながる可能性があります。また、脳腫瘍や副鼻腔炎などの非血管性疾患の早期発見につながる場合もありますので、健康寿命の維持に関心のある方には定期的な脳ドックをお勧めします。当院では専門家による脳ドック結果についての詳細な説明と、所見があった場合のアドバイスを行います。

新見 康成 記載

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