医療コラム ホームドクターと専門医の連携実例 2022.06.19 医療連携の実例紹介 患者さんと密なコミュニケーションを取るホームドクターだからこその医療連携があります。ここではその実例をご紹介いたします。 がんと診断された患者さんの実例 がんの診断が出た後、即座に専門医の先生と連携。患者さんには「紹介先の専門医のN先生には既にお話をしてありますので、紹介状を当日持って言ってくださいね。」とコミュニケーションを取る。また、がんの不安を少しでも軽減していただくべく、正しい情報もあわせて伝えていく。「がんと聞くと皆様は気が動転するほど心配されますが、幸いがんが初期に見つかっていますので過剰に心配されない方がいいですよ。」と伝え、その後ホームドクターから専門医へ患者さんの情報を事細かに伝えていく。 ホームドクターと専門医が密に連携 早速、専門医が診断。患者さんに現状を伝える。「患者様のがん細胞の場合には化学療法を術前、あるいは術後に基本的には必須で推奨されております。エビデンス的に、術前にやるメリットが確かにあり、腫瘍縮小効果が期待出来るので、手術が最小限になります。ただ、患者さまの生活の質(QOL)を考慮して、術後に検討したり、あるいは最低限の抗がん剤のみ使用するという場合もあります。」という内容を丁寧に伝える。 その後、ホームドクターから専門医へ御礼。「詳細な情報をいただき有り難うございました。患者様とは家族ぐるみのお付き合いを10年以上していますが、ご本人は神経質な所があります。私としては腫瘍摘出を先行して、術後に化学療法を行う方が精神的に克服できるのでは無いかと思います。患者様のご家族も同意見です。患者様はご自身の仕事のことも考慮すると、脱毛に対する拒否反応が人一倍強いと思います。専門医の先生にはどちらを選択しても良いと言う様なニュアンスでお話しがあったとご本人からは聞いています。」という患者さんのバックグラウンドも共有。 専門医の診察を終え、ホームドクターから患者さんへ 専門医との連携を経て、最終的な治療方針をホームドクターが提案します。「患者様のがんのstageIAは予後の良いものなので、私の知見では化学療法は不要かと思っていましたが、最近のがん学会のデーターべースでは術前、術後のいずれかにやった方がさらに完治率が向上するということでしょう。しかしこのデーターベースには個々の患者さんの精神的な要素、脱毛や食欲不振、痩身などが耐えられるか否かなどが十分考慮されているとは限りません。率直な所、術前化学療法は患者様が繊細な方である故に返ってデメリットになる可能性もありますね。したがってこの手術が数ヶ月以上も先になる事は考えられませんので、先ずは病巣を切除して、術後に精神的な不安が許容されるのであれば化学療法を行うという方針で良いのではないかと思います。あくまでも私の私見ですが…。」という形で内容を伝える。 そして患者さんからは「ご多忙中にも関わらず先生のお考えを頂き感謝申し上げます。僕も先生と同じ意見であります。先生と専門医の先生のお陰で来月にオペ予定をとりあえず入れていただいておりますので、ウエイティングで先延ばしになることはありません。あとは諸検査の結果、専門医の先生のご意見をお伺いし決定したいと思います。本当にありがとうございます。」という形で病院を転々とすることなく、最小の費用負担と時間で今後の治療方針を決定。 ホームドクターという指針がありながら、専門医との連携を図ることで最適な医療を届けます。信頼できる医師がワンストップで対応できることがホームドクター最大の強みとなります。 Tweet Share RSS 心臓病について がん疾患について